あるある大津近江!ふるさと再発見

2020.10.15

大津の歌枕(その1)

●粟津(あはづ) 膳所(ぜぜ)から瀬田橋付近。東国へ向かう交通の要地。
 〽関越えて粟津の杜のあはずとも
  清水に見えし影を忘るな
 (読人不知「後撰集」)
 ・近江八景・粟津の晴嵐/平家物語(巻9・木曽最後の場面)

●石山 観音信仰で名高い石山寺がある。
  〽都にも人や待つらん石山の
  峰にのこれる秋の夜の月
 (藤原長能「新古今集」)
 ・石山寺/近江八景・石山の秋月/紫式部・源氏物語

●打出(うちで)の浜 大津市松本・馬場(ばんば)あたりの浜の古名。
 〽近江なる打出の浜のうちいでつつ
  恨みやせまし人の心を
 (読人不知「拾遺集」)
 ・常夜灯/急がば回れの矢橋の船が着くところ

●逢坂(あふさか) 現代仮名遣いでは「おうさか」となる。相坂・合坂などとも書く。
 山城・近江国境の峠道。畿内の北限とされ、関が設けられていた。ここを越えれば東国であった。
 
 〽これやこの行くも帰るも別れつつ
  知るも知らぬも相坂の関
 (蝉丸「後撰集」)
 〽夜をこめて鳥の空音ははかるとも
  よに逢坂の関はゆるさじ
 (清少納言「後拾遺集」)
 〽名にし負(お)はば逢坂山のさねかづら
  人に知られでくるよしもがな(三条右大臣「後撰集」)

●近江(あふみ) 旧国名。淡水湖を意味する淡海(あはうみ→あふみ)に由来。
「逢ふ」「逢ふ身」と掛詞になる。
 〽けふ別れあすはあふみと思へども
  夜やふけぬらん袖のつゆけき
 (紀利貞「古今集」)
 
 〽たつぷりと真水を抱きてしづもれる
  昏き器を近江と言へり
 (河野裕子)

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